Hello, World.
数年前のことですが、私は包丁を研ぐことにハマっていました。
きっかけは刀剣乱舞です。ゲームですね。
始めてからかれこれ8年近く、現在のレベルは200半ばです。途中、離れていた時期もありますが、今は大阪城の地下を掘削している真っ最中です。
このゲームをきっかけに、日本刀に興味を持つようになりました。元々、オタクで厨二病の気があるので、刀とは相性がいいんですよね…(何その理屈?)。
コラボしている博物館や美術館に行ったり、刀ができるまでみたいな動画を見たり、キャラクターの元になっている刀が載っている本を読んだりと、順調に(?)のめり込んでいきました。
そして、その中で興味を持ったのが「研ぐ」ことでした。
日本刀を打つなんて素人には無理だし(当たり前だ)、じゃあ買うかというのも資金的に(物理的にも)難しい。でも「研ぐ」ことなら自分でできそうだな…? というわけです。
思いついたら、居ても立っても居られない…!
ネットで散々調べた後、Amazonで荒砥石、中砥石、仕上砥石、さらには砥石の面を平く整える面直しの砥石まで揃えました。
今まで包丁なんてまったく研いだことがないにも関わらず!!
いつもながら、頭の中にある理想と計画だけは壮大というか…。
金物店で、「包丁を研いでみたいと思ってるんですけど〜ちなみに、全くの初心者です」と相談していたら、こんなことにはならなかったと思うんですよね。
きっと、店員さんは「では、こちらの砥石を1つ持っておけば、家庭用としては十分ですよ〜!」とか言ってくれたに違いないのに。ただの妄想ですけど!(Amazonのせいにする)
さて、道具だけは立派なものが一通り揃いましたが、肝心の研ぎ方はさっぱりです。
身近に包丁の研ぎ方を教えてくれる人もいないので、ネットの記事や動画を見ながら、見よう見まねでやりはじめました。
最初は、砥石に対する刃の角度が定まらなくて苦労しましたが、何度か繰り返すうちにコツが掴めてきて、かえり(バリ)が出るようになりました。
気分は研ぎ師です。
切れない包丁の刃を照明の下で見てみると、光が乱反射してギザギザしているのがよくわかります。でも、両面を研ぎ終わったあと、再び光に照らしてみると、刃がスッ…と一直線に整っているんですよ。もう一目でわかります。
何これ快感…!!
調子に乗って刃をつけすぎてしまって、家族から「何この切れ味?! 指が落ちるわ!! いい加減にしなさいッ!!」と怒られたりもしましたが…。
台所にある包丁を研ぎ終わってしまうと、「研いでない包丁(もしくはナイフ)はないか…」と家の中を探し回っていました。もはや不審者です。
ふと、「ご近所さんの包丁を研いで、社会貢献(&小遣い稼ぎ)をしてはどうだろうか…?」という妄想が浮かびました。家族に話したら、「またこいつはロクでもないことを…(白い目)」という感じで軽くあしらわれましたが。
そんな充実した包丁研ぎライフ(?)を送っていた私ですが、ある日、事件を起こしてしまいました。
包丁を研いでいる最中、左手の親指の腹をざっくり切ってしまったんです…!!
車でも、乗り慣れた頃に事故を起こすって言いますよね。まさにあれです。
いや〜、手の置き場所が悪かった…。油断してました。
プロの研ぎ師からは、「何で左手の親指を…?」と言われそうですが。素人って思いもよらないことをしでかしますよね!!
一瞬にして、砥石と包丁が血で真っ赤に染まりました。水を使ってるから、バッと広がるんですよね。そして、それを見た私はショックで血圧が下がったのか、クラッと気が遠くなりました。
すぐに「これはいかん」と何とか意識を手繰り寄せ、親指の付け根を掴んで圧迫しました。
大声で家族を呼んで、とりあえずハンカチを持ってきてもらい、親指の付け根を縛りました。傷口はティッシュで直接圧迫。完全に血流を止めたら親指の他の組織に悪いので、時々ハンカチを緩めて血を流したりもしました。
我ながら完璧な処置じゃなかろうか?! 何の慰めにもなりませんが!!
幸い、土曜の午前中だったので、すぐに近くの整形外科を調べて直行しました。
以下は、病院に向かう車中で交わされた会話です。
家族「……包丁を研いでて、手を切ったっていうのか?」
私「え? まぁ、そう言うしかないんじゃない? なんで?」
家族「変な子(※別に若くはない)だって思われるんじゃないか?! 50や60の男ならともかくさぁ…!!」
私「偏見では??」
診てくれたのはおじいちゃん先生だったのですが、確かにちょっと微妙な反応をされたような気はします。「包丁をねぇ…」みたいな(笑)。
診察の時には血は完全に止まっていたので、おじいちゃん先生は「どこ? 本当に切れたの?」みたいな顔をしていましたが、パックリと開いた傷口を見て、「こりゃ綺麗に切れたねぇ〜!」と感心(?)していました。
治療としては、消毒の後、傷口に対して直角に細い専用のテープ(メッシュだった気がする)を2カ所貼るだけでした。拍子抜け…。縫うまでもなかったようです。
ただし、包帯をグルグルと巻かれ、「絶対水に濡らさないように!」と言われました。看護師さんからは、「お風呂の時は手にナイロン袋を被せて、輪ゴムをするといいよ!」とアドバイスをもらいました。
厳命を守り、定期的に消毒に行き、包帯を変えてもらっていたら、2週間ほどで綺麗にくっつきました。今では、目を凝らしても全くわからないくらいです。
この騒動を受けて、私は家族から砥石を使った包丁研ぎ禁止令を出されてしまいました。
まぁ、仕方ないですよね…。
研ぎのプロでも目指すなら、この経験を糧にしてさらに高みを目指すんでしょうけども、私にそこまでの覚悟はないし…(?)。
というわけで、せっかく揃えた砥石達は、全て捨ててしまいました。高かったのに…!!
今は、包丁を前後に動かすだけで簡単に研げるという包丁研ぎ器を愛用しています。ロールシャープナーと言うらしい。
形は変わってもここまで続いているということは、やっぱり「研ぐ」こと自体は好きなんでしょうね!
じゃあ、また。
追伸 いまだに、包丁を研ぐ時には、家族から「手を切るなよ!」やら、「医者が開いている時間にしろ!」やら、色々と言われます。「いや、これで手を切ることはないから…!(多分)」と思いながらも、前科があるので何も言い返せません!!