Hello, World.
私は神様になったらやりたいことがあります。
まず、広島電鉄のバスや路面電車についている「MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)」の決済端末を根こそぎもぎ取ります。突然過激ですね。でも、神様なので問題ありません。
ついでに、バスの運転席の横に設置されている現金精算機ももぎ取ってしまいましょう。
というのも、この精算機は、今は使用できない交通系ICカード「PASPY(パスピー)」の読み取り機と一体になっているからです。もはや過去の遺物。不要です。
代わりに、新しい精算機を設置します。
このピカピカの精算機は、全国で使える交通系ICカード(Suica、PASMO、ICOCAなど)のタッチ決済と現金支払いに対応したものです。
これで広島市内の移動が劇的に便利になります。
通勤客はわざわざスマホを開いてQRコードをかざす手間(しかも読み込みが遅い)が省けます。ラッシュ時に時間がかかるのって、イライラしますよね。
たまにしか広島電鉄の車両に乗らない人も、「えっ、Suicaの読み取りができてない? 音が鳴るまでもっとしっかりタッチしろって? 他の会社は一瞬なのに?!」などと混乱しなくて済みます。
誰もがスマホをかざして、一瞬で終わりです。
何のストレスもありません。
なんてスマートなのでしょうか…!
よくやった、私!
閑話休題。
さて、現実に戻りまして。
広島市民以外にはなんのこっちゃという感じだと思いますので、広島市の公共交通機関の決済事情について、簡単にご説明しましょう。
広島市では長年、「PASPY」という地域独自の交通系ICカードが使われており、広島電鉄や広島バス、アストラムラインなど、市内の主要な公共交通機関を1枚で利用できました。
しかし、2021年、PASPYのシステム更新費が巨額であることを理由に、広島電鉄が離脱を表明します。その結果、PASPY自体が2025年3月をもって廃止されることになりました。
2024年9月、広島電鉄は独自の決済システム「MOBIRY DAYS」を導入。一方、広島バスやアストラムラインなど数社は、全国相互利用交通系ICカード(以下、全国系ICカード)を採用しました。
つまり、ここで広島市内の公共交通機関の決済方法が2つに分断されてしまったのです。
まぁ、これは広島電鉄にとっても誤算だったでしょう。シェアが大きい自社が導入すれば、他の交通事業者も使うだろうと算段していたでしょうから。
当初、広島電鉄はMOBIRY DAYSのQRコードもしくは専用ICカードしか利用できないという運用を予定していました。登録していない人は、ニコニコ現金払いです。
しかし、MOBIRY DAYSの利用者登録が伸び悩んだのか、全国系ICカードも使えるようにして欲しいという要望があまりにも多かったのか(多分両方)、広島電鉄はPASPYの終了に合わせ、全国系ICカードで決済ができる簡易端末を設置すると発表しました。
そりゃそうだ。昔ならいざ知らず、これほど世間に全国系ICカードが普及しているなか、ローカルアプリか現金しか使えないって。それ、どこの話? ってなわけですよ(※広島です)。
ただし、こちらは本来想定していなかった運用のため、乗客は乗車時に整理券を取る必要があり、運転手は降車時にそれを確認して、金額を手動で設定しなければならないという、乗客にも運転手にも負担を強いるものでした。
最初から全国系ICカードを採用している会社では、乗車時も降車時もICカードをタッチするだけでなので、複数の会社が発着するバス停から乗ると、「あっ、これ広電のバスだった! 整理券取り忘れた〜!」となることもしばしば。
そして、つい先日(2026年7月)、ようやくMOBIRY DAYSの決済端末で全国系ICカードが利用できるようになったのです。もちろん、簡易端末は撤去され、煩わしい整理券うんぬんもなくなりました。
ここまで長かった…!! いや、別に私は何もしてないけども!!
ただし、広島電鉄の定期券は現在もMOBIRY DAYSのみの対応です。
そのため、広島電鉄と広島バス・アストラムライン・JRを組み合わせて利用する人は、MOBIRY DAYSと全国系ICカードを使い分ける必要があります。
以上が、現在の広島市内における公共交通機関の決済事情です。
私は、この一連の騒動(?)に対して、非常に残念かつ憤りを感じています。
「いったい、誰のための公共交通機関なわけ?」という。
「なぜこんなことになってしまったんだろう?」とも思います。
市民は(少なくとも私は)、「広島電鉄のバスや車両に乗りたい」わけではなく、ただ「広島市内をスムーズに移動したい」だけなんですよ。
ひとまず、私が現時点で最も不満に思っているのは、前述の通り、全国系ICカードの読み取りが異様に遅いことです。2〜3秒タッチしないと、上手く読み取ってくれないんです。
公式で「しっかりタッチしてください」と注意書きがあるくらいです。
なんでやねん。
通常なら、0.2〜0.5秒もあれば十分なはず。実際、他社の端末では軽くタッチするだけです。一瞬で終わります。プログラムの問題か、端末側の問題かは分かりませんが、早く改善してほしいです。
さらに根本的なことを言えば、「自社で決済システムを持つ」という経営戦略が、広島という都市全体を見たときに適切だったのかどうか疑問に思います。
公共交通機関はインフラです。電気や水道と同じで、誰でも確実に利用ができることが大前提なはず。
それなのに、「ウチはMOBIRY DAYSしか対応しません」という当初の広島電鉄の姿勢に対しては、「何様?」とまでは言いませんが(言ってる)、「ちょっと何考えてるのかしら…?」と思わざるを得ません。
ただ、広島電鉄の事情も理解はできます。
全国系ICカードを採用しなかったのは、利用手数料が高いという現実的な理由からです。QRコード方式にすれば、コストの削減が期待できます。しかも、他社のシステムを使ってしまうと、契約やデータ利用などで様々な制約を受けてしまいます。
その点、MOBIRY DAYSは自社が主導するシステムです。開発の自由度が高く、将来のサービス展開も自社の判断で決めることができます。取得したデータも思いのままに活用できます。
人口減少が続く地方の公共交通機関にとっては、経営戦略として極めて妥当な判断だったのだろうと思います。
しかし、私が広島電鉄から受け取ったメッセージは、「我が社の経営上のメリットのためにMOBIRY DAYSを使え。さもなくば、バスや路面電車には乗れないぞ」なんですよね。残念ながら。
「会社を存続させるための合理性」と「利用者の日常生活における合理性」とのバランスがとれていなかったように思います。その結果、利用者(さらには自社の運転手まで)が負担を押しつけられたように感じました。
さて、私は冒頭でMOBIRY DAYSの決済端末をもぎ取ってしまいました。決済は全国系ICカードと現金で事足りています。
MOBIRY DAYSという概念(?)が宙に浮いてしまいました。
せっかくなので、活用してみましょう。
MOBIRY DAYSを決済システムではなく、「広島での移動を支えるデジタル会員証」として展開することにします。よくあるスーパーなどの会員証みたいなものです。それの交通版です。
コンセプトは、「広島の移動が、ひとつになる。」です。ちょっとソレっぽすぎるか?
アプリで表示されるのは、例えばこんな感じ。
「あと3分でバスが来ます」
「今日はカープの試合で混雑が予想されます」
「購入した定期券の期限が近づいています」
「紙屋町周辺のお店で会員限定特典があります」
「あと5分で八丁堀に到着予定です。次は10:13発の路面電車に乗り換えです」
などなど。
そうだ、天気予報もつけよう。イベント情報、ポイント、クーポンもあります。
広島市民なら、毎日開くアプリです。
「MOBIRY DAYS、面倒だけど入れなくちゃいけないんだよなぁ〜」から、「MOBIRY DAYS、めっちゃ便利じゃん!」と思われるようにしたいですね。
まぁ、私は神様じゃないから無理なんですけど。
残念です。
じゃあ、また。