Hello, World.
少し前になるのですが、ショッピングモールに入っている本屋さんに行きました。いつものように、店内をぶらぶらと歩いてまわっていると、気になる本を見つけました。
「コーヒーの教養」という本です。
売り出し中なのか、コーヒーや紅茶などのコーナーで平積みにされていました。
1日にコーヒーを5杯飲む生活で胃腸をやられ、内視鏡検査を受けたことがあるほどのコーヒー好きとしては見逃せません。
中をぱらぱらと立ち読みしてみました。文章が読みやすいし、内容も面白そうです。
ただ、私は物理的・金銭的な制約(つまり、置き場所とお金の問題)から、手元に置く本はかなり厳選しておりまして、「必ず一度図書館で借りて読んでみる」というルールを設けています。
図書館で借りて、家でじっくり読んでみて、「人生で折に触れて何度も読み返したいので、ぜひとも手元に欲しい!」という本だけを購入するというわけです。
ハードル高いな。
いや、でも、そうしないとあっという間に金欠&本だらけになるから…!
というわけで、ひとまずその本は元の位置に戻し、その場を後にしました。
さっそく、家に帰ってから地元図書館の予約サイトに入り、「コーヒー 教養」と入力して検索してみました。
すると、タイトルがよく似た本が2冊あるではありませんか!
「世界のビジネスエリートは知っている教養としてのコーヒー(以下、教養としてのコーヒー)」と、
「世界のビジネスエリートが身につけているコーヒーの教養(以下、コーヒーの教養)」です。
……似すぎじゃない??
どうやら、私が本屋さんで見たのは、「コーヒーの教養」のようです。なぜなら、そちらの方が出版年が新しいから。
しかし、あえてここまで似たようなタイトルで出版するなんて、後者の編集者は確信犯でしょうね。何を狙ったかはわかりませんが。
「どうせなら、どちらも読んでみよう!」と、両方予約しました。
2冊とも読み終わりましたので、私の独断と偏見でまとめてみました。
| 世界のビジネスエリートは知っている教養としてのコーヒー | 世界のビジネスエリートが身につけているコーヒーの教養 | |
|---|---|---|
| 井崎英典 | 著者 | 山本博文 |
| 第15代ワールド・バリスタ・チャンピオン、株式会社QAHWA代表取締役社長 | 著者の肩書き | 株式会社坂ノ途中 執行役員 海ノ向こうコーヒー事業部所属 |
| 2023年3月 | 出版年(初版) | 2025年4月 |
| サプライチェーンの下流 (コーヒー豆が国内に入ってから) | 著者の主な活動フィールド | サプライチェーンの上流 (コーヒー豆が国内に入ってくるまで) |
| コンサルタント | 職業 | バイヤー |
| 消費者寄り | 立ち位置 | 生産者寄り |
| 表現者 | 役割 | 管理者 |
| いかにおいしい(ニーズにあった・豆の良さを引き出す)コーヒーを淹れるか | 理念 | いかにおいしい(ニーズにあった・品質の良い)コーヒーを入手するか |
| (バリスタとして) ルールを作る | 業界のルールに対して | (企業組織として) ルールに則る |
| 深い | 物の見方 | 広い |
| コーヒーの歴史や一般知識、バリスタとしての思いや経験、美味しい淹れ方などが書かれている | 本の特徴 | コーヒーを取り巻くシステム全般(流通・政治・経済・環境など)について詳しく書かれている |
この表を見てもらえばわかると思うんですが、この2人、見事に被らないんです! いっそ感動しました。
著者の性質というか、属性が全く違うので、読み比べがとても楽しく、興味深かったです。
2冊とも、一般的な知識(植物としてのコーヒーノキの特徴、品種や産地による味わいの違い、歴史、流通、業界の現状など)は、きちんと書かれていました。
どちらを読んでも、コーヒーの基礎知識を得ることはできます。
2人に共通していたのは、コーヒーに対する熱い想いと、今後のコーヒーは付加価値としてストーリーが大切になるという考えでした。
おいしいコーヒーを淹れるには(見落としがちだけど)、水がとても大切だということも同じく書かれていて、「へ〜」と思いました。
コーヒー業界の未来については、2人ともしっかりとしたビジョンや目標を持たれていました。それぞれができることから懸命に取り組んでいることが伝わってきました。
以下は、それぞれの感想です。
「教養としてのコーヒー(井崎氏)」で、私が最も感動したのは、井崎氏が自分の父親について述べている文章でした。
井崎氏の父親は、井崎氏が小学生の頃、行きつけだった店の店主から引き継ぐ形でコーヒーショップを始められたそうです。
井崎氏が、後に自分が子どもだった頃の会社の経営資料を分析してみたところ、売掛金の回収に200日もかかっているなど、現在の感覚ではとても考えられない経営をしていて、非常に驚いたとのことでした。
「美味しいコーヒーを売るんだ!」という情熱だけで、銀行から借り入れをしたり、同志たちと共同買付をするなどして、とにかく必死で事業を回していたようだ、と書かれています。
「彼らのように情熱を持って取り組んだ人たちがいたからこそ、今日の日本のコーヒー文化があるのだ」という言葉には、深い説得力がありました。
「コーヒーの教養(山本氏)」について、この本はとても上手くまとまっているなという印象を受けました。
別に、井崎氏の本がまとまってないというわけじゃないんですが、この本は、全体の構成も書かれている内容も、理論的というか、システマティックなんですよね。しかも、どの項目もそれぞれ詳しいのに、わかりやすい。
そんな文章なので、特にひっかかるところもなく読み進めていたのですが、全体の3分の2ほど読んだところで、思わず「おっ?」と手が止まりました。
なぜかというと、突如太字で強調された文章が同じページに2つも出てきたから。
1つは、輸出会社の項目で「リーファーコンテナ」についての説明をしている文章。もう1つは、すぐ次に書かれている輸入会社の項目で「日本では、コーヒー商社と呼ばれる会社の多くは輸入業者である」と説明をしている文章です。
確認した限りでは、太字で強調されている文章は、全体を通してこの2文だけです(単語「Cerrado」なら1カ所ありましたが。見落としてたらすみません)。
輸入会社と輸出会社。山本氏が日々最前線で関わっている領域ですね。思い入れが強いところなんだろうなぁと思いました。
あとは、「日本は消費国のなかでも飛び抜けて品質にうるさい」という文章を読んだときには、ちょっと笑ってしまいました。
似たようなタイトルの本でしたが、読んでみたら著者による違いが色濃く反映されていてました。両方を読むことで、よりコーヒーに対しての理解が深まりました。
さぁ、コーヒーに関する教養本を2冊も読んで、知識はバッチリなはず。
これで、晴れて私もビジネスエリートの仲間入りですね!(??)
じゃあ、また。